大手電動アシスト自転車メーカーであるヤマハ、パナソニック、ブリヂストン(一部)から発売されているセンターモータ(センターマウント方式・センターユニット方式)について語ります。
【訂正】
・ハブモータ型でペダル踏力なしで約1秒間アシストが続くことがある理由については、物理的な距離の差ではなく、ヤマハとそれ以外の制御における違いと言えそうです。明確な要因はわかっておりません。
・キャッツアイ→キャットアイです
※動画の39:17以降では、ヤマハの電動アシスト自転車ならではのパネル表示機能の説明をしています。
※説明している車両はヤマハパスシティL5 2015年モデルです。後半の走行映像はハブモータ車(ビビチャージ)でのものです。
センターモータの3つのセンサー機能と効果についてhttps://youtu.be/xw3PHq9JxTs
センターモータとハブモータの機構的な違いhttps://youtu.be/gFLmxfwom0c
【補足1】
前輪ハブモータの場合、車種によっては急な登り坂で前輪荷重が抜け、モータアシストが得られなくなることがありますが、前傾姿勢になることで解消します。また、前輪ハブモータ車ではセンターモータと比べ低速走行時の小回りは効きませんが、これはアシストオフモードや回生ブレーキを使うことである程度克服できます。
【補足2】
モータは人力や内燃機関と異なり、低回転時から最大トルクを発揮し、高速域まで対応できるため、本質的には変速機を必要としません。モータに印加する電圧が十分確保できる電車(一般的な直流電化された線区は1500V程度)や電気自動車(日産リーフは約360Vなど)はもちろん、トヨタTHSやホンダi-MMD(e:HEV)などのハイブリッドシステムではバッテリ電圧(190~260V前後)を約500~700Vまで昇圧することでモータに十分な電圧をかけることができるため、モータには変速機がありません。ホンダi-DCDや日産の1モータ2クラッチ式でモータに変速機をかましている理由は、バッテリや昇圧コンバータなどの電装品にかけるコストを削減するための工夫です。
電動アシスト自転車の場合、最高出力約250Wモータによる24km/h程度までの走行であれば25.2V程度(BSデュアルドライブでは36V程)のバッテリ電圧で十分対応できるため、基本的には変速機をかます必要がないということです。
【補足3】
丸石サイクルの前輪ハブモータにはランクがあるようで、上位機種にはブレーキレバー内蔵のアシストカット機構はないようです。
メーカーHP:http://www.maruishi-cycle.com/category/item/
【補足3】
近年のヤマハのバッテリーはパナソニック(サンヨー)製と比較した場合自己放電が早く、スリープモードに入りにくいという特性があります。ブリヂストンのデュアルドライブ車のバッテリーはパナソニックのと比べ自己放電が早く、残量把握精度が低い(B200は顕著、B300・B400でもその傾向あり)という性質があります。https://www.youtube.com/watch?v=oJcOAZTRIRU&t=62s
【鹿本の戯言】
センターモータ車は、20km/h以下でゆっくり楽に走るための電動アシスト自転車です。20km/h以上で速く走る場合、ほとんどあるいは全く意味をなさなくなります。ブリヂストンのデュアルドライブ車を代表とするハブモータ車は、ギア変速を適切に行えば、20~22km/hでもアシストをある程度効かせて比較的速く走ることができます。「ギア変速」を積極的に行うことに抵抗のない方は、ハブモータ車を強くお勧めします。
シマノの自転車用変速機は内装も外装も極めて優秀です。また、エンジンなどと違い人力という慣性が小さく大きなトルクを伝達する際には、変速時の入出力ギアの回転数の差が生じにくく変速の効率が非常に高いです。自動車と比べ変速機でのエネルギー損失が圧倒的に少ないことが自転車が効率の良い乗り物である証の一つであると考えている身としては、自転車の変速機を有効活用しない手はないと思っています。しかし、センターモータでは変速機との相性が最悪で、加速時など強トルクを必要とする場合はどうがんばっても連続的に人力とモータアシストを共に効率良く駆動に伝えることはできません。センターモータの電動アシスト自転車の機構はあくまで原動機(モーター)中心のバイク屋の発想で成り立っており、本来の自転車の良さが生かされていないと思います。そのため、ハイブリッド車をベースに乗り物の効率を追求する鹿本にとって受け入れがたいものなのです。
センターモーターの電動アシスト自転車が嫌いな理由とビビチャージが酷評された理由