(第3話)
引き返している時間、明日香を待つ時間、いろんなことを考えていた…
ファミレスで待機している時は ラブホテルはこの辺にはないのでマップで検索したり、 SMプレイ道具の最終チェックをしたり、
明日香とのプレイをワクワクしながら妄想に耽ったりしていた。
14時が近くなると、対応は決めていた。 14:00までにメールが来かったら、
「縁がなかったということであきらめよう」と
年齢、スリーサイズ、写真(顔はデコ)を見る限り、
最高のパートナー候補と会えるのかな…と薄っすらと期待していたが、
「時間を守れない女性とは無理して会ってもいいけど、長くは続かない」
いくらエロいことばかり考えているオヤジでも、私の中ではこれだけは許せないことであった。
以前、半年ほど付き合っていたSMプレイパートナーがいたのだが、 可愛さ、話しやすさ、エロさ、どれをとっても満点近い女性だった。 ただ、「時間にルーズ」な所が許せなかった経験がある。
時間にルーズな女性に振り回されている自分が嫌になったのである。
彼女自身もあまり乗る気がなくて、会っていたのかもしれない… 私のことに関心を持てないけど、SMプレイが気に入ってくれていたので、会っていたのかもしれない。
ただ、それが要因となって「時間にルーズ」という行動になっていたのかもしれない。
その女性と「お互いに会うのは止めよう」と話がまとまりつつある頃には、、 私は彼女に対して、しつこく何度もメールしたり、
メールの発言に対して、いちゃもんを付けて返信してたりしていた…
「私はストーカーやん」
はっと、自分がしている行動がストーカーと同じだということに気が付いた。 そう思った時にその女性への思いが、スパッと断ち切れた。 話がまとまってからは、一度だけ誕生日にメールを送ったかな…
いや、もう一回送ったかもしれないけれど…
今では、いま彼女が何をしているのかも知らない。
明日香「東口ですか?西口ですか?」 私「東口です。」 メールのやり取りが近距離で行われているのを確認しながら、
明日香は私の目の前に現れた。
お互いに目が合って、明日香は車の助手席に無言で座った。
(「ごめんなさい」とは言わなかった・・)
私「ちょっと移動しようか…」※ここからは実際の会話です。 明日香「ハイ」
(うつむいた感じでただ黙っていた)
駅前なので移動しながら話をすることにした。
私「緊張している?」 明日香「ハイ」
(確かに緊張している表情ではあった…)
私「こんな形で会うのは、初めて」 明日香「ハイ」
(引き返してきたことに対して、何も言おうとはしない)
私「こんなオヤジで大丈夫?」 明日香「・・・・・」
(「はい」と言う言葉しか口にしていないが、ここでは返っててこなかった)
無言の時間もあったけど、車で移動している間に話したことはこれだけだった。
5分ほど走らせただろうか、私は車をUターンさせた。
私「ごめんなさい、駅に送り返します。」
明日香「ハイ」
私「ごめんなさい」
明日香「・・・」
同じ駅の近くまで明日香を送り返して、別れた。
暑い夏の日の出来事だった。